書こう書こうと思っていたのですが遅れました。ちなみに2016の記事も眠っております。今更出す訳にはいかないやろ……。そんな感じで自分の中のワナビー属性を再確認しました。
さて去る8/3〜8/5にかけてbuilderscon tokyo 2017というものが行われたのでそれに行ってきたり、トークをしてきたりしていたのでその感想ブログというわけです。
印象に残ったトークの感想
複雑なJavaScriptアプリケーションに立ち向かうためのアーキテクチャ
ベストトーク投票3位のトークです。内容としてはGUIアプリケーションでいい感じにレイヤーを分けつつきれいに設計するには? みたいな話です。
僕は仕事ではまさにアーキテクト的な立ち回りをする事が多いのですが、設計に関しては他人のコードを読んで実践するという感じであんまり本に当たったことはありませんでした。そんなわけで去年とかもこのトークのスピーカーであるしんぺいさんがヤッパチーでやったトークを聞くまで「CQRSって何?」状態でした。聞いて「ああそれに名前ついているんだ」という感じです。こういう概念の話というのは自分でググるのは難しいです。何故かと言うとそれをなんと呼ぶのか難しいからです。というわけで人に聞くという手段を取るわけですが、周りにそういう人がいないと難しい。というわけでカンファレンスという場で体系的な知識をかいつまんで聞くというのは正統派なカンファレンスの利用方法ではないのでしょうか。
しんぺいさんはとっつきにくい概念を具体例に落とし込んで聴衆に理解できるように話すという点でとても優れたスピーカーであると思います。僕も投票しました。スピーカーとしても見習いたい。
Factory Class
Jesse VincentさんといえばCPAN Authorという感じだったのがキーボード作って売っていたという話で、これは去年のbuilderscon tokyo 2016にも動け!Golang 〜圧倒的IoTツール開発へようこそ〜 - builderscon tokyo 2016というトークがあり、こちらも工場の話がありましたが、今回の話も工場関連。
僕は物理的な物を作るというのはやっていますが、それを製品として数百個数千個単位で売るというのはやったことがありません。ソフトウェアの世界でもProof of ConceptレベルのものもあればProduction Readyなものもあります。僕のはPoCレベルでこのトークで語られたキーボードはまさにProductionと呼べるものです。このような複雑な製品を個人で数千個作るのは出来ないので当然工場に頼むわけですが……トークを聞いているとkickstarterやindigogoでリリースできないガジェットがたくさんあるのがわかってきます(当然それだけが原因ではないのですが)。
アマチュアがプロに頼むとカネがかかる、つまりぼったくられるという話はよく聞きますが、まさかやってくれないみたいなこともあるのかと思いました。途中「あなたが製造工場にとって取るに足らないほど小さな規模の製品を依頼しているのであれば、約束を反故にされる」みたいな話があったと思いますが、万全を期すために実力のある相手と組むことが逆に悪い方向に働くことがあるんだなあという新たな知見が得られました。今後の人生に活かしていきたいです。
The Evolution of PHP at Slack HQ
みんな大好きSlack、みんな大好きPHP、そんな大好き同士は実は関連が深かったみたいな話、というかSlackはPHPで主に作られていますという話です。
会社でもSlackは使っていますが、概ね問題なく使っており、ボットおじさんとしてはAPIが豊富なのが良いという感じです。絵文字もカオスになっております。
Slackは他にもGoを組み合わせているようでそのあたりの組み合わせの話も聞けるかなと思ったのですがそうではなく、結構レガシーをモダンにするという話です。というかPHP5系をHHVMにするという「オッやっておりますなー」という話でした。でも実際に動いているからすごい。こういうこと言う人はいっぱいいますが、ちゃんとやりきっている人は貴重です。大変参考になります。話を聞いているとHHVMがやはりそういう既に動いている5系のアプリの移行をガッツリ想定しているからか、言語デザインやエコシステムとしてスムーズに行っている印象があります。またCanaryサーバ的な構成でデプロイしつつ比率をどんどん上げていくみたいな話も面白かったです。今回やっていきたいイチの話でした。
さてキーボード作る話もそうでしたが、今回も同時通訳がバリバリ活躍しておりまして、このトークの「びっくりタイプ変換」という訳は大好きです。スライドでもSuprise Type Conversionみたいな記述があったので直訳っちゃあ直訳。。。
自分のトーク
「3Dプリンタで作る1次元セル・オートマトン、階差機関、アナログコンピュータ」という題ですが、階差機関しかやってないです。世間の声としては概ね好評という話を聞いております。
僕がやりたかったのは、というかトークをする時のいつもの心構えなんですが「こういうのもあるよ」と提示することです。カンファレンスというのはある意味スピーカーの喋りたい話を参加者に半ば強制的に吹き込む事ができるので、自分の知ってほしい話を喋って新しい発想を促すぞみたいな感じです。その代わり時間を奪うわけですから責任も伴うわけです。いつもは自分が知って驚いたことや面白かったことを体系的にやっていく感じでやっておりうまくいっているのでしばらくはスタイルで行くと思います。階差機関の歯車の動きで加算とリセットを繰り返すのを理解したときは電撃が走った。
参考にした動画はこちら。
動いているのが見れます。
歯車動くのきれいみたいな動画です。
仕組みの動画シリーズの加算の仕組みのところです。これで仕組みを理解しました。このシリーズのあとの方にデジタル計算機である肝のインターロック機構や桁上り機構、コントロールセクションなどがあります。コントロールセクションの平板カムとリンク機構を組み合わせて回転を間欠的な往復運動に変えているのが見どころ。
そんな感じで機械計算機仲間を増やしていきたいですね。
というか裏がMaker Faire Tokyoだったんですよねー。来年は階差機関で出たいぞ。
以下はチラ裏ポエム。
ポエム
そういえばこのブログを書いている週末にはコミックマーケット92、つまり夏コミというやつが行われていて、奇しくもbuildersconの前身であるYAPC::Asiaの最後の年とおなじ東京ビッグサイトで行われているわけです。あのときは確かコミケの一週間後だったような。
さてこのコミケとbuildersconの共通点はなんだろうと考えた時に、僕が思ったのは「オールジャンル」という言葉です。
コミックマーケットは同人誌即売会と呼ばれる催しに属しますが、僕が出展したことのある他の同人誌即売会に文フリというのがあります。これはオンリーと呼ばれていて、僕は創作文芸というジャンルなので創作文芸と評論周りのオンリーというやつです。他にも東方だったら例大祭、艦これであれば砲雷撃戦、同人音楽であればM3などとそこそこのジャンルであればオンリーというものはあるわけです。
では何故それに行かずコミケに行くかというと、それは人によって様々な理由があるからだと思うんですが、僕の中では知らないものを見つけたいからという話があります。これは逆の立場からもそうで、創作文芸というジャンルは一次創作つまりオリジナルなので二次創作にあるような公式からのルートのようなものはないわけです。じゃあどうするかというとなろうみたいな小説サイトとかで興味を持った人が実際の即売会に来てくれる。しかしそんな偶然ばかりに頼ってられないので、会場でうろついていたらなんか面白そうなやつがあったみたいなのを求めているわけです。
一度、コミケで隣の人が笏(しゃく)を売っていたことがありました。笏とは平安貴族とかが手に持っている平べったい木簡みたいなやつです。
By Chris Gladis, Flickr user MShades - http://flickr.com/photos/mshades/153003004/, CC 表示 2.0, Link
で、面白いから買ったんですけれど、そこで笏は中世のカンペだった話とか、神社のホンモノから型紙を作ってそれを元に手で切り出す話とか面白い話が売っている人から聞けたんです。僕、笏なんてそれまで全く興味がなかったのに。コミケってそういう出会いがあるわけです。
buildersconもそういう「全然知らないジャンル、話、人に興味を持つきっかけになる場」になってほしい。トークだけじゃなくてHUBで飲んでそういう話が聞けたらいいと思うし。
そんな感じで大変満足し、大変承認欲求が満たされた会でした。いい話も聞けたし、いい話もできた。
ところで今回個人スポンサー及びスピーカーでいただいたしゃもじですが、笏に似てますよね? 笏には正しい持ち方があって……
(これは正しい持ち方ではありません)